Doctor's Column ドクターズコラム

ISSUE 30上げたり下げたり

  • 公開日:2014年10月1日

 よく人を上げたり下げたりする人がいる。お笑い番組を見ていると、この手の会話が行ったり来たりして、どこで笑いに誘われるかというと、上げて下げるときに一瞬の間があり、下げる言葉の強烈さに「わっ!」。うまく下げる瞬間が勝負のようだ。なぜ、このような番組が人気を得ているのか。企画サイドに人の心を読む力がないとできない。良い気分にしたり落としたり、やりすぎても笑いは取れない。要はバランスだ。

 話は少しそれるが、誰もが、宿命的な親子関係=DNAの問題は避けて通れない。女性の寿命に影響を与える細胞の中の“ミトコンドリア”と呼ばれる小器官は、人の死を支配するといっても過言ではない。生命エネルギーの源であり、酸素を燃料として物質(栄養)を燃やす、車でいえば酸素はガソリンと同じ役割をする。この小器官を、ある科学者は“ミトコンドリアイブ”と言っている。その理由は、母系的に長命な家系は、女で生まれると長命DNAを保有するらしい。
ちなみに私の母系では祖母が97歳、母親が98歳でこの世にグッバイ、はてさて私は未定だ。医学を学んだ分もっと長生きしないとおかしい?しかし、ちょっと待てよ、医者も人並みの寿命なのでは?医療の進歩の速さに何も言うつもりはないが、日本の平均寿命は男女とも世界一、でも女性の平均寿命86歳にして健康寿命は73歳と短くなるのは、どこかに問題があるからだ。

 認知症罹患率も世界水準からみれば順位は落ちる。これこそ、“医療と非医療のバランス”を考える時が来ている証かもしれない。細胞にオンとオフのタイミングをどのように作れるかだ。私がパワープレートを毎日活用しているのはこのためで、ミトコンドリアを元気にすることが長寿の条件のようだ。
ある本の例を借りれば、野球のバッテリーみたいなもので、ブドウ糖から変化したピルビン酸というボールをキャッチャーミットになげ込む感じ。このアクションをうまくやるには、キャッチャーがミットをしっかり持たないとエネルギーはできないらしい。また、ピッチャーがしっかり投げなければどうしようもない。両者の力の“バランス”が大切。脳と心の関係も、心で何か興奮し、歓喜したとき大脳はそれを取り次ぐ働きをする。しかし、それを握りつぶす制止という反対の働きもする。制止は明らかにマイナス方向への興奮で、ゆえに興奮と同じ性質を持つ。制止も興奮も、両方の“バランス”をどのように保つか。自分流のライフスタイルの“オン、オフ”を作れる人こそ、健康寿命を延ばすに違いない。

 “オン、オフ”こそ、脳と心をうまく使って体を“上げたり下げたり”しているようだ。私も時々、スタッフを上げたり下げたりして、笑いをとっているのも事実だ。スタッフは、このことをどのように受け止めているのだろうか。
【会報誌 ENVIRON No.60】

戸澤 明子

株式会社プロティア・ジャパン 取締役会長/学校法人 日本医科大学 元評議委員/医師

いち早くアレルギー治療に関心を持ち、アレルギー外来を設置。多くのアレルギー疾患の臨床経験を持つ。現在は株式会社プロティア・ジャパンの代表として、医師の経験を活かし、 正しいスキンケアの普及活動に全力で取り組んでいる。
著書に 「50歳から輝く人、30歳で老ける人」(幻冬舎)がある。

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