Doctor's Column ドクターズコラム

ISSUE 28社長も知らなかった“美白コスメ騒動”

  • 公開日:2013年9月12日

 今回の騒動を起こした企業のバックグランドについては、さまざまな報道がされている。

 ある雑誌の記事には「初動で対応を間違わなければ、被害の拡大は防げた」「危機管理で必要な悲劇的予測が行われていなかった。自社の化粧品に問題があるのでは、との視点が決定的に欠落していた」とある。記事は企業の管理体制を厳しく追及している。社長をはじめとする経営陣にも、自社製品に対する認識が決定的に不足していたようなのだ。

 大きな社会現象にはならなかったが、何年か前にも似たようなことがあったと記憶している。SPFの数値が高い日焼け止めクリームで肌のダメージを受けたという苦情が消費者から上がった。ブランドメーカーの名前が出た。SPF値が50以上の商品が出た。なぜ?消費者が求めるから、出せば売れるから、企業は数値を上げたのだ。

 皮膚の老化現象の最大の原因は紫外線である。思えば、1930年代、紫外線をより浴びた部分の皮膚の老徴現象は、肌のビタミンA欠乏と関係のあることがワイズ、シュルツベルガー*によって証明された。ビタミンAは自然の紫外線防止剤なのだ。私たちは、消費者に対するセミナーを開催し、紫外線対策は日焼け止めクリームだけでは解決しないこと、数値の高い商品ほど肌への危険性は高いことを言い続けたという経験がある。2007年ごろのことだ。

 今回のような騒動の本質はどこにあるのか、消費者は学ぶ必要がある。“色白肌”を求める消費者に対して、商品開発の時点で企業哲学が問われていることは間違いない。ここで私が一番言いたいことは、消費者は最先端スキンケアの正しい情報がないままに、“色白肌”への欲求や焦りの心理が、“自然の摂理”の限界を超えて、健康な肌の“調和”をくずした結果である。消費者の焦りもわからなくもない。女性の70~80%は自分の肌に何らかの不満を抱いている。そこには日常のスキンケアに問題があるように思えてならない。

 エンビロン・スキンケアシステムに関わって約20年、代表者としての責任の重要性を意識から外したことは一瞬たりともない。常に商品の安全性、さらに美肌の再生効果を気にかけてきた。最大の臓器である肌の健康な“肌理”きめをいかにして維持し、さらに作りあげていくかを考えてきたのだ。

 幸い、エンビロンの開発者、ドクター デス フェルナンデスは、開発者として、人間に対する心からの思いやりがある人だ。一度たりとも、我々にも消費者にも迎合する姿勢を見せたことはなく、開発者として重い責任感を持っている。
 最後に消費者の皆さん! 行動を起こす前に、“皮膚細胞の知識”や最先端のスキンケアはどこまで来ているのかしっかりと学習してほしい。

*出典:Wise F., S., MB Yearbook of Dermatol The Yearbook Publishers, Chicago,1938. 282

【会報誌 Active Aging No.58】

戸澤 明子

株式会社プロティア・ジャパン 取締役会長/学校法人 日本医科大学 元評議委員/医師

いち早くアレルギー治療に関心を持ち、アレルギー外来を設置。多くのアレルギー疾患の臨床経験を持つ。現在は株式会社プロティア・ジャパンの代表として、医師の経験を活かし、 正しいスキンケアの普及活動に全力で取り組んでいる。
著書に 「50歳から輝く人、30歳で老ける人」(幻冬舎)がある。

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