Doctor's Column ドクターズコラム

ISSUE 21さっぱり感の連続は良いのか悪いのか

  • 公開日:2012年12月26日

肌を清潔に保つのは大切なこと。とくに、これから夏場に向けて、人ごみの中で不愉快な思いをするのは汗臭さ、はっきり言えば“不潔”への鈍感さからくるのでは?1年間365日、朝のオンリーシャワーは、どんなに電力事情が悪くなろうと、働く人間は欠かさないほうが良いと言いたい。それだけでも匂いは消える。

日本人は一般論として潔癖性だと言われているが、これも皮膚にとっては有難迷惑なこともある。洗いすぎから生じるドライスキン、過敏性肌、続発的に発症する皮膚病、その果てに紫外線による老化、シミ、シワ、たるみの増長を促すのだ。身体のてっぺんの頭皮から足の末端の皮膚まで、洗いすぎは禁物。頭皮だって顔だって身体だって、皮膚を守るための必要不可欠な皮脂が出て、そこに常に存在してくれないと、さまざまなトラブルの基になる。でもでも、現実はどうなのか?消費者は本当に気づいているのだろうか?と心配だ。

いまだ日本人女性の7〜8割はドライスキン、過敏性肌だと言っても過言ではない。たしかに、泡立てた洗顔クレンザーで汚れを落とした後のさっぱり感は、瞬間心地よいものだ。“人気コスメ”“おすすめコスメ”の宣伝文句の一例を言わせてもらえば、「1日2回、まっさらな肌にリセットする洗顔法は、お手入れのモチベーションが上がる気持ち良さ重視でセレクト。軽いメイクも落とせる拭き取りローションから、泡立て要らずの泡状、定番のフォーム、せっけんまで一気にお試し」などなど……洗顔の気持ち良さをPRすることで、たぶん一般の消費者は洗顔に力が入るのではと危惧するが、いかがなものか。

洗顔料には限界がある。目的は皮膚の表面に付着した汚れを落とすことだが、ときにはぬるま湯、水でも落とせるものもある。あえて言わせてもらえば、皮膚本来の“さっぱり感”は、光老化で生成された錆びた脂(過酸化脂質)をなくすこと。これは、エンビロン スキンケア理論でいえば“ト―ニング”にあたる。このことは又の機会に譲るとして、最後に、日本人のさっぱり好きは、皮膚にとってそんなに良いことではなさそうだと気づいていただければ。なかには、そういった気持ちが強くなり、本人も何の認識もないままに、洗浄強迫、不潔恐怖が起こり、1日に何回も、身体や衣服まで洗うようになることも。止めたいけれど止めると不安をきたし、そのために無駄なエネルギーを費やし、やがては強迫性障害へ。これは精神的治療を必要とし、一般的ではありませんが、周りにいなくもないのでご参考までに。

【会報誌 ENVIRON No.51】

戸澤 明子

株式会社プロティア・ジャパン 取締役会長/学校法人 日本医科大学 元評議委員/医師

いち早くアレルギー治療に関心を持ち、アレルギー外来を設置。多くのアレルギー疾患の臨床経験を持つ。現在は株式会社プロティア・ジャパンの代表として、医師の経験を活かし、 正しいスキンケアの普及活動に全力で取り組んでいる。
著書に 「50歳から輝く人、30歳で老ける人」(幻冬舎)がある。

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